安らぎを与えるペット霊園

ベトナムで初めてペットの埋葬を行った場所として知られるハノイのテドンバットガー霊園（Tề Đồng Vật Ngã Pagoda）には、2,000匹以上の犬や猫が眠っている。

この霊園のオーナーであるグエン・バオ・シンさん（Nguyen Bao Sinh/84歳）は、ペットにも人間と同じように扱われる権利があると信じています。それがペット霊園を建てた大きな理由の一つです。
仏教では動物や植物も含めて、すべての人に愛と優しさを持つようにと教えています。それがブッダの教えの中の慈悲なのです。私の霊園は仏教の慈悲の原理に基づいて建てられています。
ここではホテル、医療、葬儀、火葬などペットのための「生から死まで」のサービスを提供していますと話す。

一見すると小さな公園のようだが、囲いの中には小さな湖があり、その中に仏像が立っていて、後ろに小さな天使がいる。湖の周りには緑が広がり、木陰には死んだペットの小さな墓がある。
墓石には、Tuti、Lucky、Misa、Kin、Bac、Bull、Billなどペットの名前と生年月日、没年、写真も刻まれている。

ペットの葬儀は祭壇の前での儀式から始まる。ペットの飼い主は人間の葬儀と同じように果物や奉書、花などの供え物を用意する。
埋葬には600万〜1000万ドン（約3万3000～5万5000円）、墓石の設置には年間45～65ドル（約4700～8300円）がかかる。火葬は250万～400万ドン（約1万4000～2万2000円）で人間の埋葬と同じ手続きが行われる。

ベトナム社会で犬や猫が果たす役割はここ数年で大きく変化している。犬や猫を番犬とみなす人はまだ多いが家族の一員と考える世代も多くなってきた。

今年初めにハスキー犬を亡くしたタイさんは、安らかに眠れるような場所を永久に確保する価値があると話す。
また、息子のように思っていた愛犬をきちんと埋葬してあげることで、心の安らぎを得たという。

シンさんは、このペット霊園が優しさのメッセージを広めることを望んでいる。
「ペットを愛することで子供たちに愛を伝えることができる。多くの国ではペットを愛することは間接的に愛を教える方法と考えられています。ただ単に愛と優しさを見せるよりずっと良いと思います」と話す。