飲酒による家族の負担と影響

投稿: KilalaApr 7, 2022

ⓒ VnExpress

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ハノイ在住のグエン・ティ・ホアさん(Nguyen Thi Hoa)は夜遅くまで飲み酔っぱらった夫をバイクで迎えに行く生活を10年以上続けている。
結婚以前から夫がよく酒を飲むことに気づいていたが、若さ故の遊びだと思い何も考えなかったという。しかし、結婚してからも酒癖は良くならなかった。

夫のドゥオンさん(Duong)は、取引先との関係をより良くするための付き合いで飲みに行く必要があると言い、家ではほとんど夕食をとらない。

8年前の第一子出産時には、夫に「早く帰ってきて、翌朝早く病院に連れて行ってくれ」と言ったが、一向に帰宅せず、携帯電話の電源も切られていたため、ホアさんは夫とよく一緒に飲んでいた友人に連絡した。
すると夫が酔っぱらってパブの床に倒れていると友人から聞いた。
2人目の子供ができても、夫の行動は一向に変わらず夜中に夫を迎えに行かなければならなかった。

この現状にホアさんは「疲れや寂しさを感じることもあります。世界の重荷を背負っているような気がします」と話す。

最近、ホアさんは夫に「酔っぱらってだらしなく帰宅する夫をもう見たくない。お互いにこの状況から解放されてそれぞれに生きればいい」と離婚届を突き付けた。
この時、夫はようやく家族を失いかけていることを理解し、もう一度チャンスを与えてくれるように懇願した。

現在、飲酒を完全に止めたわけではないが、回数は月1、2回に減り23時には帰宅するようになった。
また、飲酒の回数を減らしたことによって仕事や友情を失うことはないと夫は分かることができた。

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北部バクニン省のハイ・イェンさん(Hai Yen)は、アルコールにこれほど夫を夢中にさせるどんな「魔力」があるのだろうかといつも不思議に思っている。

イェンさんが病気なり子どもの送迎を夫に頼んだ時には、夫はそのことを忘れ子どもは校門の前に何時間も待つ羽目になった。
テト(旧正月)に家族に田舎に行ったときは、1日中お酒を飲み二日酔い。
飲み屋で財布を盗まれても酔っぱらっていたため気が付かなかったことなど、お酒にまつわるトラブルは尽きることがない。

半年前は飲酒運転で事故に遭い、内臓が損傷し胃の3分の1を切除しなければならなくなった。
さすがに飲酒をやめるだろうとイェンさんは思ったが、その半年後、夫は再び飲み始めたのである。

飲酒増加による弊害

ベトナム統計局の2019年のデータによると、アルコール乱用による一般的な6種類のガン治療にかかる医療費は約26兆ドン(約1406億円)、アルコールによる交通事故の結果に対処する費用は約50兆ドン(約2700億円)だった。
また、同局が調べたところによると国内のアルコール消費量は2018年の1人1カ月当たり0.9リットルから2020年には1.3リットルに増加した。

イギリスの医学誌「ランセット(Lancet)」による2019年の調査では、ベトナムは世界のビール消費国の上位に入った。
2010年から2017年の間に一人当たりの飲酒量が90.2%上昇し、2017年のベトナムの一人当たりの純アルコール消費量は8.9リットルで、日本(7.9リットル)、中国(7.4リットル)、インド(5.9リットル)よりも多い。

健康戦略政策研究所が行ったアルコール関する調査では、消費者の63パーセントが男性で高学歴層が最も高い割合を占めていることがわかった。
この結果に心理学者は、ベトナムの男性ならば飲まなければならないというジェンダーステレオタイプが大きな原因となっているという。

〈VnExpress〉
※これらのニュースは各ソースを参考に記事を編集・制作しています。

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