日本の伝統文化のひとつである茶道。抹茶をいただくのに、和菓子は欠かせない存在だ。その昔、茶道が流行し始めた室町時代は、まだ今のような和菓子ではなく、木の実や海苔、昆布、小麦粉を水で溶いて焼いたものに味噌を塗ったフノヤキなどが用いられていた。茶道における和菓子も、亭主(茶会の主催者)のおもてなしの心のひとつであるから、次第に趣向が凝らされるようになり、外国の菓子のように砂糖の甘みがあるもの、四季を感じられる華やかな形や色のものが登場する。抹茶をいただく前に食べるほんの数口の甘い和菓子が、抹茶をよりおいしく、深みのある味わいにしてくれるのだ。
抹茶と和菓子の組み合わせ
抹茶には、濃茶(Koicha)と薄茶(Usucha)の2種類がある。それぞれ味わいが異なり、組み合わせる菓子も変わってくる。
濃茶&主菓子
濃茶はドロッとしていてとても濃厚。上手に点てるにはかなりの技術が必要だ。濃茶に合わせることが多い主菓子とは、ねりきりやまんじゅう、餅菓子など、しっかりと量があるもの。四季を表す優美な形・色は、伝統技術のなせる技である。
薄茶&干菓子
薄茶は、さらりとした飲み心地で、表面を泡立てるのが特徴。薄茶にあわせることが多い干菓子は、落雁や金平糖など、水分が少なく軽やかなもの。職人が日本の四季の美しさを、形や色に込めている。
和菓子の作法〜裏千家流〜 監修:サイゴン裏千家茶道同好会
道具
懐紙:菓子をのせたり、箸をふいたりするための和紙。
黒文字:黒文字という樹から作られる、楊枝のようなもの。
(Photo: PIXTA)
和菓子のいただき方
お菓子をいただくのはいつ?
茶道では、お菓子はお茶をいただく前にふるまわれ、お茶をいただく前に食べきるのが作法。亭主が「お菓子をどうぞ」と声をかけたら、菓子がのった懐紙を手で持ちながら、菓子をいただく。
どのようにいただくの?
生菓子は、黒文字でひと口サイズにカットしながら食べる。大福など切りにくいものや干菓子は、手で持ってもよい。干菓子の大きいものは、粉やかすが飛び散らないように手でひと口大に割り、ひと口ずついただく。
お菓子をいただいたあとは?
お菓子の余韻を楽しみながら、お茶をおいしくいただく。お茶を飲む詳しい作法は、Kilala vol.4を見よう。お菓子が食べきれない場合は、懐紙に包んで持ち帰る。亭主がお客様のために心を込めて用意したものなので、残して帰ると失礼になってしまう。また、使った懐紙と黒文字は持ち帰ること。
SENDA MAYU/ kilala.vn
Sai Gon Sadou Club
日本の文化や茶道に興味がある方は、ぜひSai Gon Sadou Clubに来てください。
(見学は事前に予約してください)