日本の伝統的な服といえば、着物。日本人の体型に合ったシルエット、華やかな織物や染物、着物を着たときのしとやかな所作…。日本文化をぎゅっと凝縮したかのように、すみずみまで日本の美が息づいています。着物を知ることは、日本を知ること。奥深い着物の世界へようこそ!
着物の歴史
(Photo: PIXTA)
現代の着物の原型は、12世紀から15世紀にかけて、貴族が下着として着用していた、シンプルな浴衣のような形の「小袖」だといわれている。次第に下着ではなく一般的な服となり、身分が高い人が着る小袖には、刺繍などの華やかな装飾が施されるようになった。庶民の間でも装飾のある小袖が着られるようになったのは、江戸時代になってから。さまざまな芸術的文化が花開いた江戸時代には、ユニークで斬新なデザインがたくさん生みだされた。そして小袖が発展し、振り袖など現在の着物の種類に枝分かれしていくことになる。しかし19世紀、明治時代になると、西洋の文化がたくさん入り込み、貴族の正式な服装は着物ではなくドレス、草履ではなく靴といったように変化を遂げた。20世紀には、一般の人の服装も西洋の服となり、着物を着る人の数はかなり減少した。冠婚葬祭や成人式、茶道や華道などの伝統芸能を行う際に着られることが多いが、近年、着物のよさを見直し、普段着として楽しむ人も増えてきている。
浴衣とはちがうの?
浴衣(左)と着物(右) (Photo: PIXTA)
浴衣は着物の一種なので、形や作りはもちろん似ているが、じつは大きな違いがある。浴衣は今では日本の夏のおしゃれとして定着しているが、旅館で着ることからもわかるように、元々は寝巻き。浴衣は外出時以外は一枚でも着ることができるが、着物は「襦袢」と呼ばれる下着を着用し、足元には足袋をはく。浴衣を正式な場所で着ることはマナー違反なので、覚えておきたい。
SENDA MAYU/ kilala.vn
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