山岳地帯の子どもたちに映画館を

スクリーンにアニメ映画が映し出されると子どもたちが一斉に歓声を上げた。

山に住む子どもたちに映画を届ける活動をするのは、ホー・ホアン・リエムさん（Ho Hoang Liem/33歳）たちボランティアグループだ。

今回、訪れたクアンナム省のタクポー小学校約100人の児童は今回生まれて初めて映画を見ることができた。
同校の教師は、生まれて初めてアニメを見た子供たちの興奮した顔を見て感動しました。
エンターテイメントを提供するだけでなく、プロジェクターは最新の教育ツールであり、より視覚的な授業を行うことができ、より多くの子どもたちが学校に足を運んでくれるようになりました。

また、多くのチャリティーグループが学校建設や食料・物資の寄付を行う中、リエムさんのグループは子どもたちの "心の豊かさ "にフォーカスしていることが特徴的です。
さらに凧やおもちゃの車、テディベアなどを子どもたちにプレゼントしてくれて、児童から地域住民まで、誰もがこのグループの活動に感謝していますと語った。

1月にはクアンナム省ナムトラミー郡トラドン地域の少数民族のセミボーディング学校、5月にはビンディン省カンリエン地域のカンティエン村に移動映画館を設置し子どもたちに楽しんでもらった。来年9月にはベトナム北部の省に移動映画館を設置する予定だという。

移動映画館を設置するにはプロジェクターとスクリーンを何百キロも運ばなければならないうえに、車で移動できる場所も限られているためかなり困難なことである。
しかし、リエムさんは子どもたちに現代の技術を紹介し、この活動が子どもたちの記憶に残るものになってほしいという思いがあった。

このアイデアを思い付いたのは、山で暮らす子どもたちが初めて見る海や車に戸惑う姿を目にした2年前だった。

また、彼はダナンの貧しい家庭で生まれ幼い頃から近所の子どもたちと一緒に、慈善団体から寄付された食べ物やおもちゃをもらうために、朝早くから昼過ぎまで並ぶことがよくあった。
このような経験からチャリティーをしようという思いをずっと持ち続けていた。

そこで彼は、大学在学中に多くの学校のボランティア団体に参加するようになった。
さらに親しい友人たちと一緒に、クアンナム省の遠隔地に住む恵まれない人々や貧しい学生を支援するための慈善団体「Cau Lac Bo Nu Cuoi Hong Da Nang」（ダナン・ピンクスマイルクラブ）を結成した。
当初はスポンサーがいなかったため、街頭でお菓子や花を売り、ストリート・ミュージックをして資金を集めた。

5年ほど経つとこのチャリティーグループの存在が知られるようになり、寄付も集まり、遠隔地の学校に太陽光発電や浄水器の設置、子どもたちの遊び場の建設などを行うこと始めた。
2016年には4つの山を越えて100キロを超える4枚のソーラーパネルをクアンナム省のナムトラミー地区にある5つの村に運んだ。
設置から数時間後に最初の電球が点灯した時には、村人やボランティアグループのメンバーは泣いて喜んだという。

同グループは、クアンナム省、クアンチ省、コムタム省、ジアライ省、クイニョン省など、他の16箇所にもソーラーパネルを設置し、学校や村を明るくしている。
さらに、国内外のスポンサーの支援を受けて、口唇口蓋裂の子どもたちの手術も行っている。手術費用などの請求書は透明性を確保するため直接スポンサーに送り、支払ってもらうようにしている。

このボランティア活動は「家族の協力があるからこそできることです」とリエムさんは語る。
危険な状況に遭遇するときも多々あったが、彼はいつも妻を説得しボランティア活動を続けている。

リエムさんは長距離を移動することも、一生懸命働くことも嫌いではない。ただ、必要としている人たち全員を助けることができるかどうかが気がかりなのですと話している。