私はベトナム人の両親がいるが、生まれも育ちもずっと日本のため、両親はベトナム人として育てたつもりだと思うのですが、自分自身はベトナムのことはよくわからないので、ずっと日本人として生きてきました。
しかしそんな私にも転機が訪れたのです。大学進学をきっかけにベトナムについて学ぶことになりました。そして20歳の夏に、初めて1人でベトナムにいきました。10年ぶりでした。親に言われるのでもなく、自分でお金を貯めて、自分の意思で行ってみたいと思ったのです。
10年ぶりのベトナムは幼い私の記憶の中のものとは違っている部分も多かったけれど、変わらない部分も多かったです。
Nguyen Lynaさん(会社員・東京在住)
小さい頃に比べて言葉も理解でき、家族を通してだけでなく自分で行動するこどができたので、多くの場所に足を運びました。
時々怖い思いも、嫌な思いもしたけれど、街と人々は活気と人情に溢れており、越橋だと分かると、色々な話したり、日本についてきいたりしてくれました。ベトナム人ひとりひとりがまるで家族や友人のように思えるくらい親しみを感じ、どこか懐かしさを覚えました。
何気なく使っていたベトナム語も実は他の言い回しが沢山あったり、自分のベトナム名も意味があって、好きになることができたし、初めてアオザイを着たし、ベトナム料理も沢山食べれるようになったし、バイクも自分で運転してみました。外国人としても、ちょっとだけベトナム人としても暮らしてみて、魅力ある国だなと感じました。そして私の両親はこんな素敵な国で育ったのだと知ることができました。
それ以来私はこの国に魅せられ、年に一回は足を運ぶようになりました。訪れるたびに、沢山の貴重な経験をし、どれもが忘れられない思い出ですが、1番嬉しかったのは、親戚だけでなく、ベトナムの人に「またベトナムに来てね」ではなく、「帰ってきてね」と言ってもらえた事です。
この国に来なかったら、両親のことも、自分のルーツも知らないままの、人生を送っていたかもしれません。ベトナムにいる間はもう1人の自分(ベトナム人として)の人生を生きた気分になりました。
日本は生まれ育った故郷です。そしてベトナムは、「ベトナム人としての私」の帰る場所なのだと思います。
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