代々受け継がれる鳥かご作り

ハノイの郊外にあるカインホアック村（Canh Hoach）は、鳥かごを専門に作る全国でも珍しい工芸村で多くの観光客が鳥かごを買うために訪れる。

同村の鳥かごは、あらゆる形や大きさのものが手作業で精巧に作られている。
特に日本や台湾の顧客には、美しく耐久性があるだけでなく高級品として扱われ外国人客を惹きつけている。
買い求める人たちは鳥かごを選ぶのに非常に神経を使うが、耐久性、美しさ、高級感という条件を満たしており、この品質が工芸村をブランドへと押し上げた。

2008年にハノイ政府から「熟練職人」の称号を与えられた唯一の村民である工芸品職人のグエン・ヴァン・ゲさん（Nguyen Van Nghe）は、大統領官邸の高床式住居に飾る10個の鳥かごを作るよう依頼されたときはとても誇らしく感じたと話す。

受け継がれる技術

同村は何百年も前から鳥かごを作り続けられている。
村で鳥かごを作る技術は代々受け継がれ、地元の人々の収入アップに役立っているという。

昔は手作業でしか作れなかったが、今は機械によって生産性が高くなりデザインも多様化している。職人たちの巧みで才能あふれる手によって、他に類を見ない美しい鳥かごが生み出され続けている。

この村の評判は、職人がさまざまな鳥の行動や形について熟知しているため、形や大きさの面で適切な鳥かごを作ることができることも大きな特徴である。

同村で最も大きな工房のオーナーによると、美しい鳥かごを作るには熟練の技に加えて、職人が鳥の特徴や生活習慣を熟知し、鳥に適したかごを作らなければならないという。

私たちは通常、鳥の飼い主から注文を受け鳥かごを作ります。その方がどんな鳥を飼われているのか、どのように設計すればいいのか、お客様と打ち合わせをしながら作っています。そのためには職人の腕や知識、経験が重要になります。

私の工房では、高品質の鳥かごを1個66ドル（約7600円）で販売しています。大量生産された鳥かごは、1個27ドル（約3100円）ほどになります。

国内で販売されるほか、シンガポール、タイ、マレーシア、オーストラリアに輸出され、シンガポールへの輸出量は一番多く1カ月に50～70個の鳥かごを送っています。
デザインやパターンはどんどん良くなっており、顧客の信頼を得ていますとオーナーは語った。

同地域の人民委員会会長は、工芸品の製造による収入が地域全体の収入の約70％を占めており、農業による収入は10％未満に過ぎません。人々は鳥かごの生産によって、この地域で最も高い収入を得ていますと述べている。

さらに郡当局は、同村を含む工芸村ツアーを開発するプロジェクトを計画している。
ここ数年、いくつかの旅行会社は観光客を伝統的な工芸村に案内し国内外から人気を得ているため、北ベトナムの大きな観光スポットになることが期待されているという。