有機JAS規格には、有機農産物、有機加工食品、有機飼料及び有機畜産物の4品目4規格があり、EUや米国が定める他の基準やGlobalGAPよりも厳しいため、ベトナム企業がこの認定を受ければ、日本や世界の巨大市場に容易にアクセスできるようになると期待される。
しかし、有機農法のもとで生産されるクリーンな食品のメリットは大きい一方で化学肥料での栽培に対し生産量は最大で30%も落ち込むため、多くは途中で放棄してしまうという。
また、化学肥料や農薬を使用せず3年以上経過した健康な土で栽培を行わなければならない。
有機農業への道のり
1月にヴィンロン省でメコンデルタ地域初であり唯一、EU、米国、日本という3つの厳しい市場が定める有機基準を満たした施設としてタン・ダット協同組合が選ばれた。この基準を達成するには10年の月日が費やされた。
栽培面積の拡張や化学肥料から有機肥料への移行は簡単では無かったという。
2700万ヘクタール以上の農地を持つベトナムでは、年間1000万トン以上のあらゆる種類の肥料を使用しており、化学肥料がその大半を占めている。
農業農村開発省の統計によると、2020年に農業部門が使用した肥料は、無機肥料が760万トン、有機肥料が263万トンなど、1,023万トンにのぼる。
特に無機肥料の使いすぎは、何十年にもわたってベトナムの農業における悪い習慣となっている。
高品質の有機農産物を提供するSEAGULL ADCの場合は、VietGAP(ベトナム適正農業規範)を取得してからGlobalGAP(世界基準の適正農業規範)を取得した。
あるとき、日本企業が同社の農場を見学に来た際、その企業に有機JASの条件がそろっていることを教えてもらったことがきっかけで認定を受けた。
このように同社は段階を踏んで認定を取得していったため、さほど苦労はなかったという。
有望な市場と輸出への道すじ
ベトナムで農業を通した地域づくりを進める特定非営利活動法人Seed to Table代表の伊能まゆ氏は、日本のスーパーマーケットには有機農産物の販売スペースが過去15年間で倍増しています。
有機農業はクリーンな農産物の生産に役立つだけでなく、環境保護にもつながりますと話す。
経済専門家は2021年の会議で、有機JAS規格やEUや米国が定めたその他の有機農業規範を達成することは、ベトナムの農産物が選択的市場を開拓するチャンスを与え、地元農業の新たな強みになるだろうと語っている。
しかし、GlobalGAPの申請手続きは最大で3年かかる可能性があり、費用は2億ドン(約100万円)と推定される。これはVietGAPをクリアした農家や協同組合にとって大きな障壁である。
そこで2020年、高品質ベトナム製品ビジネス協会(Business Association of High Quality Vietnamese Products)はGlobalGAPと組んでLocalGAPを設定し、ベトナム農業が世界基準でより高いステップに進むための国際市場へのアクセスや輸出の機会をつくっている。
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