HISの矢野秀明氏:「ベトナム人の観光客が自分の安全範囲を破るべきだ」

桜シーズンを始め、毎年日本への旅行者の数はますます増加しています。キララの独占インタビューの中で、HIS ソンハン ベトナム ツーリストのホーチミン市統括支店長の矢野秀明氏が、日本へ旅行してみたいと思う人に向けて、たくさんの情報をお話しいただきました。　

はじめまして。ベトナム人の収入と比較したら、訪日旅行の代金は高額なイメージがあります。それにも関わらずベトナム人が日本を魅力的な旅行先に選ぶのか、その理由についてどう思われますか？

主な理由は、ベトナム人が日本好きということです。富士山や東京タワー、清水寺などの名所を観光し、桜や芝桜、ラベンダーなどの綺麗な花を鑑賞したいと思っているベトナム人が多くいるようです。そのほか、 すし、ラーメン、しゃぶしゃぶなど日本のグルメも人気があり、日本製の化粧品や機能性食品も愛用されています。日本へ旅行に行くとベトナム人の買いたい物がいっぱいです。

ベトナム人の訪日旅行目的（要望）は5年前に比べたらどのように変わりましたか？（旅先、旅行期間、買い物、食事などについて）

旅行先については、以前なら東京、大阪、京都、富士山、名古屋など「ゴールデンルート」上にある観光地だけ人気があったのですが、近年多くの旅行者が北海道や福島、九州など、まだあまり知られていないスポットに旅行に行ってみたいという傾向になってきています。 これは旅行会社にとっても「ゴールデンルート」のツアーを整理するという“重荷”を軽くしてくれることに繋がるでしょう。それに、ベトナム人も2度、3度と日本に旅行したら、東京、大阪のほかに行く価値があるところはいっぱいあるとわかるようになりました。 滞在期間については6～７泊だったものが５～４泊に短くすることで、一般のベトナム人でも気軽に日本に行けるようになってきまています。

また、5年前は、ベトナム人旅行者が漠然と買い物する習慣がありましたが、今は、日本ブランドに対する認知度が向上しています。それは、ベトナム人が事前に旅先についての知識をしっかり集め始めていることを表していると思います。

近年、高所得のベトナム人が個人旅行にすること、また日本で働いているフリーランスのガイドさんが増えていることは、旅行会社にとって脅威となるでしょうか？

脅威とはならないと思います。なぜかというと、 言語、移動手段の利用方法などの問題があるので、個人で訪日旅行をするのはまだ難しいからです。更に、日本の観光ビザを取得することは今でも簡単ではないからです。

Feel Japan 2018のオープニングセレモニーにて挨拶する矢野秀明氏。（写真：Kilala）

フリーガイドに比べたら、旅行会社はマーケッティング戦略が強く、サービスも信用度も高いという独自の強みを持っています。多くのお客様が弊社のツアーを一度体験して以来、リピーター顧客となっていることがその証だと思います。

旅行業の専門家として、ベトナム人の訪日旅行者に対するアドバイスなどございますか？

長年にわたりベトナム人向けの日本ツアーを実施していることにより、多くのベトナム人旅行者が2回目、3回目でも東京や京都などお馴染みなスポットを選ぶ傾向があるとわかりました。何故なら、彼らは大都市に行かないと、良い商品が買えないと思っているようです。なので、ベトナム人旅行者の皆さんには慣れている「安心安全な範囲」を破り、新しい観光地に行ってほしいと思っています。日本にはたくさんの魅力的なスポットあるので、お金と時間を無駄にせず、今までにない新しい体験をしてみてください。お買い物については地方でも当然さまざまな良い商品が買えます。

また、恥ずかしくて温泉に入りたくないベトナム人が多くいるようですが、とても残念なことだと思います。温泉で全裸になることがベトナム人の習慣ではないことは分かってます。 でも、温泉に浸かる（入る）ことは健康と美容の効果があり、せっかく日本に来たのに日本の温泉を試さないのはもったないと思います。 

貴社は、ベトナム支店開業当時と比べてどのように変化してきましたか？（ツアーデザイン、人事、顧客サービス、ポリシーなど）

現在、お客様が日本に行きたくなるように、ウェブサイトとバナーにより魅力的な写真を利用するようにしています。また、来年開催される東京オリンピックの競技場を巡るツアー、学校見学ツアー、日本の有名な病院で受けるヘルスケアツアーなど、HIS ソンハン ベトナム ツーリストならではのユニークなツアーをデザインしています。ベトナム人に正確に日本の面白い情報を伝え、“本物の日本”といえる商品を提供するように日々工夫しています。 

ありがとうございました！

kilala.vn