日本のマンガ界最新事情を宝島社の編集者にインタビュー!

Thực hiện: Mayu Senda/ Biên dịch: Lê Mai/ Ảnh: NVCC, NXB Takarajimasha Jun 30, 2018

今回、インタビューしたのは、宝島社2書籍局第2編集部このマンガがすごい!WEB編集部・このマンガがすごい!編集部の編集長薗部真一氏です。

Mr. Shinichi Sonobe

(Photo: 宝島社)

まず、御社の「このマンガがすごい!」について教えていただけますか。

『このマンガがすごい!』は、毎年の年末に、“その年一番おもしろいマンガ”をランキング形式で発表している本です。2017年版で13年目を迎えました。マンガ好きの芸能人や書店員、評論家など、約200人以上が選者となり、その年に発表されたマンガ作品の中から、出版社を問わずもっとも注目すべき作品を、オトコ編(男性向けマンガ)、オンナ編(女性向けマンガ)に分けて選出しています。

Web版の「このマンガがすごい!WEB」では、毎月、選者の皆さんのアンケートから、その月のマンガランキングを発表しています。日本の最新注目マンガがわかるので、日本語サイトですが、ベトナムの皆さんもぜひのぞいてみてください!


毎年、どのようなマンガが選出されるのでしょうか。また、最近のトレンドはどのような作品ですか。

年によって様々な傾向がありますが、東日本大震災の年(2012年版)の1位はオトコ編「ブラックジャック創作秘話」、オンナ編「花のズボラ飯」でした。両者とも、社会的メッセージが強いわけではありませんが、ある種の前向きさが目立つマンガでした。

ちなみに最近では、個人的には、極端な年の差の恋愛が流行ってきているように思っています。「恋は雨上がりのように」(女子高生とバイト先のおっさん)、「私の少年」(小学生とアラサー女子)などですね。


電子書籍の普及も進んでいます。日本のマンガ市場全体としてはどのような状況でしょうか。

マンガに限らず、日本の出版業界全体で、紙の本を買ってもらうことが難しくなりつつあります。いっぽうで、別の現象も起きています。

電子書籍ですと(印刷のコストや在庫管理などのさまざまな理由から)復刊などのハードルが低いので、幻の名作と呼ばれるような作品が再刊行されやすくなります。1991年に発行され、一度絶版となった「親なるもの断崖」という作品は、2010年代になって電子書籍サイトでの販売数があがり、話題になったため、紙の書籍も再版・ベストセラーになるという現象が起きました。

また、「ひとり暮らしの小学生という作品は、もともと著者の松下幸市朗先生が自主出版でkindleで発売し人気が出て、宝島社で単行本化させていただきました。今では、シリーズ累計20万部突破のベストセラー。電子書籍で人気→紙の出版という流れが増えてきているのです。

Kono Manga ga sugoi!
"このマンガがすごい! 2017"の表紙

Webが入口となる作品が増えてきているのですね。

かつては、書店という限定された空間でしか、マンガ作品には出会うことができませんでした。そこにインターネットが現れ、出会いのチャンスが広がっていることは、歓迎すべきことです。ただ、WEBは「偶然」の出会いが少ないメディアです。「このマンガがすごい!」のような、目利きの皆さんから得た情報を集約しお届けする、一覧性の高いメディアの重要性をひしひしと感じます。


今の日本では、大人までも夢中になって読む作品も少なくありません。日本人にとってのマンガとはどのようなものなのだと思われますか。

現在の日本の大人世代は、「子どものときから当たり前にマンガがあった」ため、マンガが若者のもの、とは考えていないと思います。ベトナムでも同じように、大人たちもマンガを読むのが当たり前になる時代がやってくるのではないでしょうか。

小さいころにマンガをみんなで回し読みして、感想を言い合ったり、キャラクターのまねっこ遊びをしたり、そういったことが、マンガ文化を醸成する基礎のように思います。アニメ化や映画化といったメディアミックスも、賛否両論があるケースもあるかもしれませんが、皆が作品について語り合うきっかけになれば、新しい素敵な作品を生むための刺激になります。そして、それがいい意味で連鎖していくのではないでしょうか。


Interview: SENDA MAYU/ kilala.vn

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